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2009年2月26日 (木)

落語家論

小三治師匠の「落語家論」という文庫本を少し前に購入しました。
小三治師匠の本は何冊か持っています。
それらは「スーパーまくら」と呼ばれる、小三治師匠の人気の一つでもあるマクラ咄の録音を、編集者が文章に起こした物で、師匠が書いた物ではない本でした。

この本は80年代の7年間、77カ月。「民族芸能を守る会」の会報誌に、入門したての落語家、修行中の前座諸君に読んでもらう目的で小三治師匠が月一度寄稿した文章を単行本に纏めたものを2007年に文庫化したものです。 ややこしいですか?(笑)
内容は落語家論というタイトルにふさわしい内容も沢山ありますが、家族や趣味や日常の自分の周りのことを書いたいわゆるフツーのエッセーも多いので、堅苦しい内容ではありませんでした。
通勤途中に読んでいるんですが、これがなかなか面白い。
これを書いた頃小三治師匠は43~50歳。今の喬太郎師か市馬師匠くらいの立ち位置でしょうかね。
文体が力強くそして自信に溢れている。
中堅で気力体力共に充実している頃なのでしょう。

いろいろ興味深いテーマが毎回ありました。
少しピックアップします。
本の前半では女性落語家の賛否。
協会内の多くは反対の声が大きいが、自分は反対するのは一番楽な方法だから反対はしない。
結婚退職せずに男の世界でやれる女性が入門するというのであれば、反対はしない旨の文章があった。
今は何人も女性の落語家はいますがこの当時も居たことは居たとの事です。しかし長続きせず、二ツ目までで廃業してしまう、そういう時代だった。
今の時代も反対の声は聞こえてきますが、でも何人もの女性の落語家が誕生しています。
この回の後にまた女性落語家のことを書いてるんですよ。
今度入った女性の前座は良い。変に女性っぽくない。
もしかしたら歌代と菊乃はイケるかもしれない。
そんな感動にも似た気持ちが文章に現れていました。
それが今の歌る多師と菊千代師の事なんです。

こう書いている時代から20余年経た現在。
今はぽっぽちゃんというアイドル女子落語家が登場する時代。
ぽっぽちゃんと一緒に帰るために前座の男同士で取っ組み合いをする時代。
講談界はというと既に女性の職場。
その内男は「男流講釈師」と呼ばれる日も来るかもしれない勢い。

日本の伝統芸能と呼ばれてもおかしくない古風な話芸の世界も「CHANGE!」ですな。
「yes we can」ですな。

後半で面白いのが、留守電。
この頃は、丁度家庭に留守番電話機が入り始めた時代です。
コードレスの親機と子機があり、電話から離れていても話せる。
外から留守電経由でビデオの録画が出来るものもあった。
高級機にはファックス付きも有った。
思い出してください(笑)
この初物の留守電。
相手が居ないのが分かっているにもかかわらず、相手に話をするように自分の声を残すのは違和感を覚える。
しかしだからと云って、味もそっけもない業務通達文を読むようなのは噺家の自分としては許せない。
みたいな悩みを書いていて、それが可笑しい。
噺家・芸人ならではの悩みかなと。
今はどうされているんでしょうか、気になります(笑)

こうして少し前の時代を振り返ると時代の変化や、今も共通する事、その時代固有の事も再確認できて興味深いです。

因みに73年前の今日、2月26日は「二・二六事件」のあった日。
小林初年兵だった小さん師匠がそこに居た。
↓【次代への名言】2月26日・柳家小さん
http://sankei.jp.msn.com/culture/academic/090226/acd0902260327000-n1.htm

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